準同型写像
定義
準同型写像を群とし、写像 を考える。このとき、任意の について
をみたす写像 を 準同型写像 という。
同型写像全単射な準同型写像をとくに 同型写像 という。このとき、同型写像の始域 と終域 は同型であるといい、これを とかく。
単位元・逆元に関する性質
単位元と準同型写像を の単位元、 を の単位元とするとき、
は準同型写像であるから、 より、両辺に をかけて
逆元と準同型写像の における逆元を とするとき、
は準同型写像であるから、、両辺に をかけて
像と核
定義
像と核群 と準同型写像 を考える。また、 を の単位元とする。このとき、
を の 核(カーネル) といい、
を の 像(イメージ) という。
像と核の性質
核と部分群
をとるとき、
ここで より はともに であるので、
よって、部分群の判定定理から である。さらに、 と をとる。このとき、
ここで より 、よって
よって、正規部分群の判定定理から である。
像と部分群
をとるとき、
より であるから、部分群の判定定理より である。
準同型定理
準同型定理
準同型定理群 と準同型写像 について、
特別な場合が全射準同型写像であれば、
準同型定理の証明
準同型写像であること
写像 を考え、これが同型写像であることを示す。いま、 をとると、剰余群 の元として を得る。このとき、
ここで、剰余群の演算の定義 と、 に対し であることを用いた。さらに、 は準同型写像であるので、
よって、 は剰余群 から 群 への準同型写像であることが示された(ここで は群 の部分群であることを用いた)。
全射であること
をとると、始域にある剰余類 が必ず存在するから、 は全射である。
単射であること
であると仮定すると、 であるから 、ゆえに であり、これより は単射である。
参考
書籍
『群・環・体 入門』新妻弘、木村哲三 著(共立出版、1999)