数学
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  • 2024/08/23
  • 2024/08/25

準同型定理をやんわり理解したい(2)

部分群と群の類別について

部分群


定義

部分群

の部分集合 の演算 について群をなすとき、部分群 といい、これを とかく。

以降では二項演算 を省略して表記する。

単位元・逆元の一致性

部分群の単位元

の単位元とするとき、部分群 において は単位元である。

とするとき、 の単位元を の単位元を とする。このとき、 の逆元 をとると、

であるから、

部分群の逆元

での逆元は、 における逆元 に一致する。

を考えるとき、その における逆元を における逆元を 、単位元を とする。

部分群の判定定理

部分群の判定定理

の空でない部分集合 に対し、

必要条件は部分群の定義より自明である。十分条件について、任意の に対し

  • 単位元の存在
  • 逆元の存在

が成り立っている。ここで が示されたから、任意の に対し、

  • 閉性

も成り立つ。 において結合律が成り立つことはその閉性と が結合律を満たすことから明らかである。よって の演算について群であり、任意の に対して であれば である。

部分群による群の類別


剰余類

剰余類

に対し、 であれば は同値である。このとき、 の同値類 による 左剰余類 といい、同様に であれば の同値類 による 右剰余類 という。

、任意に をとる。このとき、 をみたす があって、

という同値類を考えることができる。これを左剰余類という。同様に、 をみたす があって、

という同値類を考えることができる。これを右剰余類という。

が可換群であれば左剰余類と右剰余類は一致し、まとめて剰余類とよぶ。

剰余類の表現

以下では、群 の部分群 に対し、部分集合:


と定義する。

同値性の証明

以下では であるならば関係 は同値関係であることを示す。

  • 反射律、よって
  • 対称律 であるので 、よって
  • 推移律 であるので 、よって

剰余類の位数

剰余類の位数

集合 の要素数を と記し、これを の位数という。このとき、

写像 を考えると、これは明らかに全射となる。さらに任意の をとると、その左剰余類の任意の元 をとることができて( はラベル)、関係 を仮定するとき、逆元 を左から作用させると 、よって は単射でもある。したがって は全単射であるので、。任意の代表元を選んでも同様であるので、 について である。

類別・同値関係による商集合

群の類別


の部分群 による 左類別 といい、

の部分群 による 右類別 という。

同値関係による商集合

の部分群 による(左右)剰余類を集めた集合:

を商集合として定義できる。

参考


書籍

『群・環・体 入門』新妻弘、木村哲三 著(共立出版、1999)

動画(ヨビノリ)

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Shota Inoue
Shota Inoue

大学生 | 化学・Webプログラミング・統計学など