統計学
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  • 2024/04/07
  • 2024/09/19

Rによる母平均の検定

Rを使用して、簡単な母平均の検定を行ってみたいと思います。

母平均の検定とは


平均 ,分散 をもつ母集団 から,互いに独立な標本 を取り出し,その平均として標本平均 ,不偏分散 を次のように求めます:

このとき,次のように構成した確率変数 は,自由度 分布に従います:

標本平均,不偏分散の実現値(観測値)を ,検証したい帰無仮説 とすると,確率変数 の実現値 は,

となります.この と適当な有意水準のもとでの のパーセント点とを比較することで母平均 についての帰無仮説 を検定することができます.

母集団分布の仮定

分布に従うのは,母集団分布が正規分布であるときのみです.もし母集団分布が正規分布でない場合には,中心極限定理から が十分大きい について成り立つことを利用します.ここで は母分散ですが,標本の不偏分散 の一致推定量であるので,代用することもできます.

Rによる母平均の検定


例題

次の表は,あるクラスの生徒5人の試験の得点です.

試験の得点
生徒 A B C D E
得点 72 64 68 80 72

この試験のクラスでの得点平均は74点であったとするとき,この5人の特定平均はクラスの平均と異なるかどうかを検定します.

統計量の用意

mean 関数で標本平均,sd 関数で不偏分散の平方根(サンプルの標準偏差)を計算できます.RStudioのコンソールに値を登録していきます。

Rの分散関数

Rの sd 関数で返却されるのは標本分散の偏差:

ではなく、不偏分散の偏差:

であることに注意が必要です。

標本サイズは length 関数で取得します.

> samples <- c(72, 64, 68, 80, 72)
> xbar <- mean(samples)
> std <- sd(samples)
> mu <- 74
> size <- length(samples)
> xbar
# [1] 71.2
> std
# [1] 5.932959
> size
# [1] 5

t値を計算

値を構成します.平方根は sqrt 関数で出します.

> t <- ( xbar - mu ) / ( std / sqrt(size) )
> t
# [1] -1.05529

検定を行う

今回は有意水準 で検定することにします.帰無仮説と対立仮説はそれぞれ,

ですから,両側検定となります.したがって,自由度 分布の上側 2.5% 点を求めることになります.

> -qt(0.025, df=4)
# [1] 2.776445

分布は左右対称ですから,

より,有意水準 5% で帰無仮説 を棄却しません.よって,結論は「5人のスコアの平均はクラス平均と異なるとは言えない」となります.

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Shota Inoue
Shota Inoue

大学生 | 化学・Webプログラミング・統計学など